医療療養病床とは
当院の医療療養病床は、昭和62年の開院以来、高齢化社会の到来とともに、国の施策や方針に沿って、変遷を繰り返してきました。
現在の医療療養病床は60床あり、主として、救急病院などの急性期病院において治療を終えられたのち、引き続き医療の必要性が高く、長期にわたり療養が必要な患者さまが入院の対象となります。
療養病床の対象となる疾患及び状態像
療養病床の対象となる患者さまは、厚生労働省の定めた、疾患や状態像、ADL区分『activities of daily living:日常生活動作』により、患者さまの状態を評価し、そのなかでも下記に示す、医療の継続の必要性が高い医療区分2、3かつADL区分の高い患者さまを主として受け入れています。
医療区分3
対象疾患の名称
- スモン(亜急性視神経脊髄抹消神経炎)
対象となる状態
- 医師及び看護職員により、常時、監視及び管理を実施している状態
- 人工呼吸器を使用している状態
- ドレーン法又は胸腔若しくは腹腔の洗浄を実施している状態
- 気管切開又は気管内挿管が行われており、かつ、発熱を伴う状態
- 酸素療法を実施している状態(密度の高い治療を要する状態に限る。)
- 感染症の治療の必要性から隔離室での管理を実施している状態
医療区分2
対象疾患の名称
- 筋ジストロフィー症
- 多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上であった生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度の状態に限る。))その他の指定難病等(スモンを除く。)
- 脊髄損傷(頚椎損傷を原因とする麻痺が四肢全てに認められる場合に限る。)
- 慢性閉塞性肺疾患(ヒュージョーンズの分類がⅤ度の状態に該当する場合に限る。)
対象となる状態
- 悪性腫瘍(医療用麻薬等の薬剤投与による疼痛コントロールが必要な場合に限る。)
- 中心静脈栄養を実施している状態
- 頻回の血糖検査を実施している状態
- 肺炎に対する治療を実施している状態
- 褥瘡に対する治療を実施している状態(皮膚層の部分的喪失が認められる場合又は褥瘡が2箇所以上に認められる場合に限る。)
- 抹消循環障害による下肢末端の開放創に対する治療を実施している状態
- うつ症状に対する治療を実施している状態
- 1日8回以上の喀痰吸引を実施している状態
- 気管切開又は気管内挿管が行われている状態(発熱を伴う状態を除く。)
- 創傷(手術創や感染創を含む。)、皮膚潰瘍又は下腿若しくは足部の蜂巣炎、膿等の感染症に対する治療を実施している状態
- 酸素療法を実施している状態(密度の高い治療を要する状態を除く。)
医療区分1
医療区分2、3以外の状態
ADL区分
下記の4項目(a.~d.)に0~6の範囲で最も近いものを記入し、合計する。
項目 | 内容 |
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a.ベッド上の可動性 | 横になった状態からどのように動くか、寝返りをうったり、起き上がったり、ベッド上の身体の位置を調整する |
b.移乗 | ベッドからどのように、いすや車いすに座ったり、立ち上がるか(浴槽や便座への移乗は除く) |
c.食事 | どのように食べたり、飲んだりするか。 (上手、下手に関係なく)経管や経静脈栄養も含む |
d.トイレの使用 | どのようにトイレ(ポータブルトイレ、便器、尿器を含む)を使用するか。 排泄後の始末、おむつの替え、人工肛門またはカテーテルの管理、衣類を整える(移乗は除く) |
評価点数 | 内容 |
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0 自立 | 手助け、準備、観察は不要または1~2回のみ |
1 準備のみ | 物や用具を患者の手の届く範囲に置くことが3回以上 |
2 観察 | 見守り、励まし、誘導が3回以上 |
3 部分的な介助 | 動作の大部分(50%以上)は自分でできる・四肢の動きを助けるなどの体重(身体)を支えない援助を3回以上 |
4 広範な援助 | 動作の大部分(50%以上)は自分でできるが、体重を支える援助(たとえば、四肢や体幹の重みを支える)を3回以上 |
5 最大の援助 | 動作の一部(50%未満)しか自分でできず、体重を支える援助を3回以上 |
6 全面依存 | まる3日間すべての面で他者が全面援助した(および本動作は一度もなかった場合) |
区分 | ADL合計点数 |
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ADL区分3 | ADL得点23~24点 |
ADL区分2 | ADL得点11~22点 |
ADL区分1 | ADL得点0~10点 |